「最近、膝のお皿の周りが痛みます。」と女性が受診されました。
「歩くとき、特に階段が痛みます。」とのこと。
観察すると膝に腫れ、熱感もない、確かにお皿(膝蓋骨)を囲むように圧痛があります。膝関節は意外とスムーズに曲がります。
患者さんの年齢も若いし、どうも一般的な変形性膝関節症ではなさそうです。
仰向けで脚を伸ばして上げてもらい、少し抵抗を加えます。
膝が痛い方の脚に力が入っていません。
「腰の痛みはありませんか?」と聞いてみます。
「はい、前から腰痛と軽い脚の痺れがあります。」とのご返事。
腰を診ると、腰椎の下部とお尻に痛む場所があります。
この患者さんの場合、膝の痛みは腰に原因がありそうです。
腰椎の変形や腰周りの筋肉、筋膜の緊張があると、腰から脚に出ている神経の圧迫がおこります。
もちろん腰痛もありますが、慢性化すると脚に向かう神経の信号が弱くなり、脚の筋肉が萎縮して筋力が衰えます。
特に大腿の前面(大腿四頭筋)が弱くなると、筋肉が膝蓋骨に付着していますから、
お皿の周りに痛みが出ます。
歩いているときに膝がカクンと折れそうになり、階段を下りるとき痛みます。
このようの症状の方は膝の施術を行いますが、根本の原因である、腰部への施術が大切です。
この患者さんも腰に負担がかかる生活の改善と、腰と膝の施術で少しずつ症状も改善されています。